砂糖の使い分け

「純度」と「甘さ」の関係とは?

まずは砂糖の成分表をご覧下さい。

砂糖の成分

図

*日本食品標準成分表(八訂)より抜粋。ただし、顆粒状糖は精糖工業会分析値。

*記号「Tr」は0.01%~0.05%未満。「0」は0.01%未満を示す。

成分中で一番左の「ショ糖」が砂糖の甘味成分に当たるものです。「ブドウ糖」と「果糖」は、ショ糖の分解(加水分解)によってできたもの(転化糖)、「灰分」はいわゆるミネラル分です。
黒砂糖を除けば、どの砂糖もショ糖分は95%を超えており、上白糖と三温糖以外はほぼ100%に近いことが分かります。
砂糖(ショ糖)は数ある甘味料の中でも最も「好ましい甘味」を有していると言われていますが、砂糖の中でもグラニュー糖や白ざら糖のように純度の高いものはショ糖そのものの甘味ですが、転化糖(ショ糖の加水分解によって生じるブドウ糖と果糖の混合物)は、ショ糖より少し甘味が強いと言われていますし、ショ糖が熱分解することにより生じる着色物質(いわゆるカラメル)は、それそのものが甘い風味を持ちます。また、少量の灰分(無機質分)が含まれている場合、それが刺激となって感じる甘さが強まるとも言われます。
 家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるためにショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコという)を少量ふりかけてあります。また、三温糖は上白糖同様に転化糖液をふりかけてある上に、着色物質(カラメル)による甘い風味も有しています。ですから、グラニュー糖より、感じる甘さとしては強く感じられるのです。

どう使い分ける?

では、このような特徴を日常の料理やお菓子作りにどう生かしたら良いのか、ということですが、純度の高いグラニュー糖や白ざら糖は、砂糖そのものに風味があるわけではありませんので、甘さとしては非常に淡白です。このことを料理に当てはめれば、「純粋に甘味だけをつける」ということになります。つまり、素材の香りや色、風味を生かしたい時に向くわけです。この一番の典型がコーヒー・紅茶に使うスティックシュガーのグラニュー糖です。また、フルーツを使ったケーキなども、色の問題に加えて、フルーツの風味を損ねないためにもグラニュー糖が向くというわけです。
一方、三温糖や黒砂糖は、砂糖そのものに風味とコクがありますので、これを生かせる料理、具体的には佃煮等の甘辛く煮る煮物などへの使用に向いているといえます。また、黒砂糖はその独特の風味ゆえに、そのままお茶受けとして食べても、香ばしくておいしくいただけます。

上白糖は万能選手?

さて、ここまでご説明してきて、一般に最もポピュラーな砂糖である「上白糖」はどうなのか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ここで、もう一度成分表をご覧ください。
上白糖の平均的な成分は、ショ糖分97.9%、転化糖(ブドウ糖+果糖)1.4%と、三温糖とともに転化糖の割合が他の砂糖より多くなっています。これは、後から振りかけた転化糖液(ビスコ)によるものです。上白糖もグラニュー糖も白砂糖という点では同じですが、ビスコの添加により成分表上は転化糖の割合が多くなるわけです。
甘さの点で言えば、転化糖を加えたことで、舌に感じる甘さはグラニュー糖より上白糖の方が若干強く感じますが、かといって三温糖のような風味があるわけでもありません。つまり、両者の中間に位置付けられるといってよく、それゆえにどのような用途でもOKの「万能型」として、一般家庭用に最も適していると言えます。

それぞれの特徴を活かした活用を

色々とご紹介してきましたが、どれであっても砂糖には違いありませんので、「〇〇にはこの砂糖でなければいけない」とか「この砂糖はダメ」ということはありません。しかし、日本は、世界でも料理の中に上手に砂糖を取り入れている国であることは間違いありませんし、それゆえ、これだけ多くの種類が生まれたのだと思います。皆さんも、それぞれの砂糖の特徴を知って、賢く使い分けていただければと思います。

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