砂糖の主成分(甘味成分)はブドウ糖と果糖が1つずつ結合した「ショ糖」(スクロース)と呼ばれるものです。
スクロースの構造
ブドウ糖と果糖が結合した部分は非常に切れやすく、水溶液中のショ糖を酸や酵素で切ると、分解してブドウ糖と果糖が生成します。この反応のことを「加水分解」あるいは「転化」といいます。そして、ショ糖を加水分解してできたブドウ糖と果糖の混合物を「転化糖」といいます。上白糖の最終工程で振りかけ、しっとり感を生む糖液「ビスコ」は、転化糖の糖液です。なお、転化糖の成分であるブドウ糖や果糖は、還元性を示すことから、「還元糖」ともいいます。
砂糖製品の成分(平均値)について、
下記の表に示します。
砂糖の成分
*日本食品標準成分表(八訂)より抜粋。ただし、顆粒状糖は精糖工業会分析値。
*記号「Tr」は0.01%~0.05%未満。「0」は0.01%未満を示す。
表に記されている通り、砂糖製品の成分は、そのほとんどがショ糖ですが、ブドウ糖・果糖(転化糖)や灰分(ミネラル分)も含まれています。
分蜜糖では、白ざら糖やグラニュー糖はショ糖分が99.9%以上であるのに対し、上白糖や三温糖は、ショ糖分が97%台と相対的に低く、転化糖や水分が比較的多いのが特徴です。この転化糖と水分の多さが、製品にしっとり感を与えるのです。灰分(ミネラル分)については、三温糖は相対的に高い値となっており、これと加熱により生じたカラメル分が三温糖の甘みや風味を醸し出している要因と思われます。
加工糖では、角砂糖・氷砂糖のショ糖分がグラニュー糖と同程度、粉砂糖・顆粒状糖もほぼ同程度で高くなっています。
含蜜糖では、黒砂糖の灰分(ミネラル分)が高くなっており、三温糖同様、加熱により生じたカラメル分も含めて、独特の風味と甘みの要因になっております。