砂糖の主な原料と分類

砂糖の主たる原料

甘蔗(サトウキビ)

甘蔗(サトウキビ)

甘蔗は、草丈が3~5m、茎の太さが2.5~5cm程度のイネ科の多年生植物で、茎の中に11~15%程度のショ糖(砂糖)が含まれています。
甘蔗の生育には年間平均気温が20℃前後からそれ以上、年間降水量が1,500~2,000mm程度の地域が適しており、世界における栽培地域はインド、ブラジル、タイ、オーストラリア、南ア共和国などの熱帯・亜熱帯地域で、日本では鹿児島県南西諸島と沖縄県です。
栽培法には、甘蔗の茎を1~4節の間隔で切断したものを浅く土中に埋めて芽を発育させる「新植法」と、収穫後の残された根株から新芽を発育させる「株出法」があります。
収穫までの栽培期間は品種や栽培環境によって異なりますが、沖縄・鹿児島の場合、新植法が1年~1年半程度、株出法が約1年です。収穫時期は、北半球の沖縄・鹿児島では1月~4月頃で、南半球のオーストラリアや南ア共和国では4月~12月頃に収穫されます。

てん菜(ビート・さとうだいこん)

てん菜(ビート・さとうだいこん)

てん菜はヒユ科の二年生植物です。春に播種して発芽させ、秋の収穫時には主根が約1.5mになり、その一部の貯蔵根は直径7~12cm、長さ15~20cm、重さ600~1,200g程度になり、ショ糖(砂糖)分を16~20%程度蓄えます。冷涼な地を好み、栽培地域は欧州、米国の緯度の高い地域等で日本では北海道です。
北海道での栽培では、圃場への直播の他、生育期間を長くして収量を増やすために、ビニールハウス内で土を詰めた紙筒に播種を行って発芽・育苗させ、その後紙筒ごと圃場に移植する方法が確立しました。しかし、準備に手間と人手、時間がかかることから、最近では直播栽培が増えてきています。
収穫は10月から11月にかけて行います。てん菜が圃場に植わったままの状態で、機械で葉と主根の間を切断して葉を除去します。その後、収穫機で掘り起こしてトラックで工場や各地域にある集積所に運び、屋外でシートを掛けて製糖まで貯蔵します。
てん菜は貯蔵中にも呼吸しており、糖分が消化されますので、工場に入るまで凍結を防ぎ、かつ呼吸が最低限となるような温度(0〜5℃)で管理します。

砂糖の分類

砂糖は、「原料」・「製法」の面から
分類することができます。

1 原料による分類

原料から砂糖を分類しますと、主原料である甘蔗(サトウキビ)由来の「甘蔗糖」と、てん菜(ビート)由来の「てん菜糖」に分けることができます。もっとも、甘蔗糖もてん菜糖も、精製して不純物を除去すれば、ほとんど同じものになります。現在、世界で生産される砂糖のうち、70~80%が甘蔗糖で、残りのほとんどがてん菜糖です。 また、世界には、甘蔗糖やてん菜糖以外にも、生産量は非常に少ないですが、カナダなどで生産されている、砂糖楓(かえで)からとれるメープルシュガー、東南アジアで砂糖椰子(やし)からとれるヤシ糖などがあります。

2 製法による分類

砂糖は、製造法の違いによって、精製糖、てん菜糖、黒砂糖、和三盆糖など様々な砂糖がつくられています。 甘蔗やてん菜から砂糖を製造する方法によって分類すると、下の図のようになります。

図

分蜜糖とは、糖液から砂糖の結晶を取り出すときに、遠心分離機を用いて結晶と糖液を分離して結晶を取り出す製法による砂糖です。精製糖やてん菜糖が代表的なものです。 一方、含蜜糖とは、甘蔗などから得られる糖液をそのまま濃縮し、その濃縮により生じた微細な結晶と蜜を一緒に固めたもので、黒砂糖が代表的なものです。 耕地白糖とは、原料である甘蔗やてん菜の栽培地域の製糖工場で、原料糖をつくらずに直接つくられた白糖のことです。てん菜からつくられる白糖は通常、てん菜の栽培地域でつくられますので、耕地白糖と言えます。北海道でつくられているてん菜糖も耕地白糖です。

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