よくある質問

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原料について

砂糖の材料である「原料糖」について詳しく教えて下さい。

原料糖とは、サトウキビの汁をしぼり、一部不純物などを取り除いて結晶にしたものです。上白糖やグラニュー糖、三温糖などをつくる精製糖工場ではこれを原料として調達し、工場内で再溶解した後、精製して製品化しています。従って、精製糖の直接の原料はサトウキビではなく原料糖です。
では、なぜサトウキビ直接ではなく、原料糖をつくる必要があるのでしょうか。
砂糖の原料であるサトウキビやてん菜は、収穫すると砂糖分が分解して減少してしまいます。サトウキビの場合、消費国が原料として輸入する場合が多いのですが、輸送するのに時間がかかりますし、サトウキビそのものの嵩(かさ)が大きいので輸送が困難です。
そこで、収穫後の砂糖分の減少を防ぎ、輸送しやすくするため、産地で原料糖の結晶にしてしまうわけです。
一方、てん菜の場合は、産地に近い所に製糖工場があり、早めに使用されますので、原料から最終製品まで一貫して生産しています。当サイト「砂糖の製造工程」も併せてご参照ください。

色・外観・触感について

形が整った氷砂糖と不揃いのものとでは、何か違いがありますか?

氷砂糖には、結晶の形をしたものと不揃いのゴツゴツしたものの2種類があります。前者を「クリスタル氷糖」、後者を「ロック氷糖」と呼んでいます。製法の違いにより形状が異なっていますが、成分は同じです。氷砂糖は、果実酒をつくるときによく使いますが、どちらを使用しても、出来上がりに大きな差はありません。

なぜ上白糖はしっとりしているのですか?

グラニュー糖はさらさらしていますが、上白糖は触ると湿った感じがあります。これは、結晶に「ビスコ」と呼ばれる糖液(ブドウ糖と果糖の混合糖液)を後から添加(振りかける)しているからです。
結晶の表面に糖液が付着しているので、舌に感じる甘さは上白糖の方がグラニュー糖より強く感じます。三温糖もビスコを添加しているため、上白糖と同じようにしっとりしています。
上白糖は日本独特の砂糖で、1900年代初め(明治40年頃)から生産されるようになりました。日本の多湿な気候に合わせ、結晶同士を結合しにくくするためという説や四国の三盆白(和三盆糖)の製法を参考にしたという説があります。

砂糖の結晶は、種類によって大きさに違いがありますか?

砂糖の結晶の大きさに特に決められた規格はありませんが、現在製造・販売されている製品の結晶の大きさは、概ね以下の通りです。
  • 上白糖・三温糖・・・・・・・・・0.1~0.2mm
  • グラニュー糖・・・・・・・・・・・0.2~0.7mm
  • 白ざら糖・中ざら糖・・・・・1.0~3.0mm

砂糖の結晶の大・小はどうやってつくるのですか。

砂糖の結晶は真空結晶缶の中で煮詰めてつくります。この工程は煎糖(せんとう)と呼ばれ、煎糖の仕方によって、様々な大きさの結晶をつくることができます。
真空結晶缶で煮詰められた糖液は、濃度が上がり、やがて飽和濃度(これ以上砂糖が溶けない濃度)に達します。ここで更に煮詰め、わずかに過飽和の状態にして粉砂糖などの種(たね)を入れると、それを核にして結晶ができてきます。
結晶の大きさについては、結晶缶に入れる種の数(目数といいます)と、結晶を育てる時間(育晶時間といいます)で調整します。上白糖のように小さい結晶の場合は、目数を多めにして育晶時間を短めにし、上白糖より少し大きい結晶であるグラニュー糖では、上白糖より目数を少なめにして、育晶時間を長めにします。
また、更に結晶の大きい白ざら糖や中ざら糖の場合は、種自体を粉砂糖ではなく大きめの結晶にして、時間をかけて結晶を育てます。

味・成分について

砂糖には、種類によって成分などの基準はありますか?

日本の食品成分を規定しているものとしては「JAS規格」があります。JAS規格は食品・農林水産分野において農林水産大臣が定める国家規格で、 伝統的には、国内市場に出回る食品・農林水産品の品質や仕様を一定の範囲・水準に揃えるための基準です。
しかし、砂糖にはJAS規格はありません。理由としては①昔から使用されている馴染み深い食品であること、②品質が均一で安定していること、③種類が同じであれば、メーカーによる品質にほとんど差がないことなどが挙げられます。
一方、国際的な食品規格として、国連の専門機関であるFAO/WHOによる「コーデックス規格」があります。ここでは砂糖の規格も種類ごとに定められていますが、我が国の砂糖製品は、この基準を高いレベルでクリアしています。

純度の高いグラニュー糖が上白糖や三温糖より甘くないのはなぜですか?

純度とは砂糖の甘味成分である「ショ糖」が含まれている割合です。 グラニュー糖の成分はショ糖分がほぼ100%なのに対し、三温糖のショ糖分は97.4%、上白糖は97.9%(日本食品標準成分表 八訂)となっています。
「純度が高いほど甘さも強い」と思うかもしれませんが、純度が高くなると甘味は柔らかくなり、蜜のような甘い香りも消えます。分かりやすい例がスティックシュガーです。中身はグラニュー糖ですので、コーヒーや紅茶の風味を損ねることなく、甘味をつけることができます。
一方、上白糖や三温糖は、ショ糖以外の成分を微量に含むため、これが刺激になってグラニュー糖より甘さを強く感じることがあります。更に三温糖の場合、ショ糖の一部がカラメル化し、それ自体に風味や香りがあることも、甘さを強く感じる要因の一つになっています。

包装・表示・保存方法について

砂糖はなぜ固まってしまうのですか?

「砂糖がカチカチに固まってしまった」という経験をされた方は多いのではないでしょうか。特に「上白糖」は固まりやすい性質を持っています。
上白糖は、結晶に砂糖液を振りかけているため、外気が乾燥すると、結晶の表面についている砂糖液の水分が蒸発します。すると、溶け込んでいた砂糖が、水分が少なくなることで溶けきれなくなり、小さな結晶として現れます。この小さな結晶が、上白糖の結晶と結晶を連結する接着剤のような役割を果たして、砂糖の塊をつくってしまうのです。

固まってしまった砂糖はどうしたらいいですか?

砂糖が固まってしまうのは砂糖液中の水分が蒸発するためです。ですから、これをほぐすには蒸発した水分を補って、砂糖の小さな結晶を再び溶かしてあげればいいのです。
簡単な方法としては、固まった砂糖をビニール袋に入れて霧吹きで水をかけ、袋の口を輪ゴム等でしっかり留めて数時間置いておくことです。霧吹きの量は固まり具合にもよりますが、1kgの砂糖に対して4~5回程度でよいでしょう。あまり吹きすぎると砂糖そのものが溶けてしまいます。
それも面倒であれば砂糖と食パンを同じ容器にいれて密閉し、一晩置いてみて下さい。食パンの水分が砂糖に移って柔らかくなります。

砂糖はどのように保管方法するのがよいですか?

台所は煮炊きをしているため、湿度の変化が大きく、砂糖を置いておくと固まりやすくなります。また砂糖の入っているポリ袋は通気性がありますので、封を切っていなくても外気の影響を受けます。できるだけ外気の影響を受けにくい、密封できる缶や容器に入れておくことをお勧めします。

砂糖に賞味期限が表示されていないのはなぜですか?

日本の食品表示は「食品表示法」という法律に規定されています。原則として加工食品には期限表示を行う義務がありますが、「品質の劣化が極めて少ないものは例外的に期限表示を省略できる」とされています。砂糖もその一つです。特に精製糖は、高度に精製することで不純物の含有量が極めて少なく、品質が安定しています。
現在流通している上白糖やグラニュー糖など、ほとんどの砂糖には期限表示がされていませんが、何らかの事故が発生した場合の安全対策として、製造工場や製造ラインの遡及ができるよう、製品には固有の記号などが印字されています。

長い間保管していた砂糖を開けてみたら、黄みがかっていました。 食べても大丈夫ですか? 味に変化はありませんか?

パンや焼き菓子の焼き色は、主に糖とアミノ酸が反応してできたものです。この反応を「メイラード反応」といいます。
砂糖には、原料のサトウキビやてん菜由来のアミノ酸がごく微量残っていることがあります。その場合、長期間保存すると、アミノ酸と砂糖がメイラード反応を起こすことがあるのです。この場合の着色は食べても害はありませんし、味が変わったり甘みが落ちたりすることもありません。
しかし、糖分が分解してカラメル化する場合や、外部から液体等が混入するなど、色がつく可能性は他にもありますから、必ずメーカーのお客様相談室にお問い合わせいただき、状況を説明して対処方法を確認してください。

家庭用砂糖の小袋の包装材料は何ですか?

スーパー等で販売されている多くの製品の包装袋の材料はポリエチレンフィルムです。丈夫で衛生的かつ経済的ですが、通気性があり、湿気やにおいを通します。また、コーヒー・紅茶用のスティックタイプの砂糖の包装材料は、ポリエチレンがラミネートされた紙や、(量は少ないですが)防湿性を高めたポリプロピレンを材料とするポリフィルムが使用されています。
なお、2022年4月1日施行の「プラスチック資源循環法」(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)を受け、精糖メーカーにおいても新たな視点での容器包装の検討が行われており、一部のメーカーでは紙の包装製品も販売されています。

砂糖の入っている袋には「穴が開いている」と聞いたことがありますが、なぜですか? 衛生上問題はないのですか?

家庭用小袋の砂糖は、自動包装機でポリエチレンフィルムに連続的に注入され、熱により密封されていますが、このときどうしても空気が入り膨れた状態になります。しかし、そのままでは保管や輸送中に袋が破れる危険性があります。
そのため、以前は、空気を逃すための極めて微細な穴(ピンホール)が開いていました。この穴は極めて微細で、異物が混入するトラブルはほとんどありませんでしたが、最近では、袋の先端に迷路のような空気の逃げ道を設けた特殊な封印方法の小袋が導入されています。

製品の種類・価格について

氷砂糖、角砂糖、粉砂糖のつくり方を教えて下さい。

氷砂糖には、平板でゴツゴツした 「ロック氷糖」と、一定の結晶の形をした 「クリスタル氷糖」の2種類があります。両者に成分の違いはありません。
ロック氷糖は、原料であるグラニュー糖を溶解、ろ過、濃縮した後、結晶の種になる小さい氷砂糖とともに平板の皿に入れて、室 (むろ、結晶させるための部屋) の中で2週間程かけて、ゆっくり結晶を育てます。そして、出来上がった結晶を砕いて、製品が出来上がるのです。一方、クリスタル氷糖は、回転式の氷糖機という機械の中に核となる砂糖の結晶粒とグラニュー糖を溶かした糖液を入れ、3~4日間回転させて大きな結晶に育てます。
氷砂糖が果実酒作りに向くのは、結晶が大きく、ゆっくり溶けるので、果物の香りや風味を損ねずに引き出すからです。
角砂糖は、グラニュー糖に純度の高い濃厚な砂糖液を少量加えて混合し、角砂糖成型機に入れて成型・乾燥させたものです。砂糖以外のものは使用していませんから、純度は非常に高いといえます。
最近は、スティックシュガーが一般的になったため、生産量は少なくなってきていますが、角砂糖のもとはグラニュー糖ですから、いろいろな用途にお使いいただけますし、一粒の重さがはっきりしていますから、計量の手間がいらず、お菓子作りなどには便利です。
粉砂糖はグラニュー糖を粉砕機で細かく砕いてつくります。なお、粉砂糖は粒子が細かく、水分を吸収して固まりやすいので、少量のデンプンなどを加えることがあります。

コーヒーシュガー、顆粒状糖のつくり方を教えて下さい。

コーヒーシュガーは、純度の高い砂糖液にカラメルを加え、氷砂糖のように時間をかけて結晶させた砂糖です。顆粒状糖は、グラニュー糖を砕いて粉砂糖状にしたものを顆粒に成形した砂糖です。細かい穴が空いていて空気を含んでおり、水に溶けやすくなっています。

三温糖が上白糖より高価なのはなぜですか?

三温糖と上白糖では流通量に大きな差があります。上白糖は多く消費されるために回転率が早く、大量輸送・大量仕入れができるために安く販売することができます。また、実際の製造工程では三温糖の方が加熱時間が長くなるため、エネルギーコストも余計にかかっています。

健康との関係について

砂糖は自然食品なのでしょうか?

「自然食品」の定義は定かでありませんが、一般的には「食品添加物を使用していないもの」、「加工度の低いもの」、「昔ながらの製造方式で生産しているもの」を指す場合、「養殖やハウス栽培していないもの」、「有機農法でつくられたもの」などを指す場合などがあります。
砂糖はサトウキビ(甘蔗)やてん菜(ビート、さとうだいこん)などが光合成により生成した甘み成分(ショ糖)を抽出したものです。ショ糖そのものは加工されていないので、自然由来の甘味料ということができます。この概念は国際的にも通用しており、砂糖はnatural sweetenerとして、artificial sweetener(人工甘味料)とは区別されています。

砂糖が白いのは漂白したからですか?

「白砂糖は漂白している」、「黒砂糖を漂白したものが白砂糖」と思っている方もいるかもしれませんが、実は白砂糖は白くありません。無色透明な結晶に光があたって白く見えているのです。雪や氷が白く見えるのと同じです。大きな氷の塊は透明に見えますがかき氷にすると白く見えるように、結晶は細かくなるほど目に白く映ります。砂糖も氷砂糖は透明に近く見えますが、上白糖やグラニュー糖などは白く見えます。
  • 上白糖

    上白糖

  • グラニュー糖

    グラニュー糖

  • 氷砂糖

    氷砂糖

白砂糖より、色のついた三温糖の方が身体に良いのですか?

三温糖は白砂糖と同じ精製糖であり、基本的な製造工程は同じです。
精製糖は、原料糖中の不純物を取り除いて無色透明となった砂糖液を煮詰めて結晶をつくり、遠心分離機で結晶と糖液に分けて結晶を取り出しますが、糖液にはまだ砂糖分がたくさん含まれているので、煮詰めて結晶をつくり、取り出す作業を数回繰り返します。すると、煮詰める時間が長くなることで砂糖分の一部がカラメル化して色が付き、純度も少しずつ落ちてきます。この色のついた糖液からつくられるのが三温糖です。
上白糖やグラニュー糖などの白砂糖と三温糖の成分を比較すると、三温糖の方がいわゆるミネラル分が多いのは事実です。しかし、それは上白糖やグラニュー糖の灰分含有量が0.01%未満なのに対し、三温糖のそれは0.1%というごく微量の話であり、砂糖の摂取量からみて、三温糖のミネラル含有量は「ミネラルを補給できる」レベルではありません。従って、「白砂糖より色のついた三温糖の方が身体に良い」とは言えないと考えます。
ミネラルを補給するなら、野菜や海藻、乳製品など、他の食品から取る方がずっと効率的です。

砂糖はカロリー(エネルギー)が特に高い食品なのでしょうか?

まず、「日本食品標準成分表(八訂)」に記載されている、砂糖の1gあたりのカロリーを同じ糖質(炭水化物)に属する主な食品と比較してみます。
すると、どれもが概ね1g当たり3.4kcal~4kcalということがわかります。栄養成分表示における糖質のカロリーは1gあたり4kcalとされていますから、砂糖は極端に高カロリーな食品ではありません(炊いたお米やパン、茹でたうどん、そば、パスタといった加工した食品は水分を多く含んでいますので、同重量あたりのカロリーは低くなります)。
なお、タンパク質は糖質と同じ1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalとされています。

砂糖と食品(糖類)の1gあたりのカロリー

  • 上白糖
    3.91kcal
  • グラニュー糖
    3.93kcal
  • 三温糖
    3.90kcal
  • 黒砂糖
    3.52kcal
  • お米(穀粒・精白米)
    3.42kcal
  • 小麦粉(薄力粉1等)
    3.49kcal
  • そば粉(全層粉)
    3.39kcal

「日本食品標準成分表(八訂)」より

「砂糖は骨を溶かす、カルシウムを奪う」と耳にしましたが
本当ですか?~砂糖の俗説①

砂糖は「骨を溶かす」、「カルシウムを奪う」という古くからの俗説があります。「砂糖は酸性食品であり、砂糖を摂取すると酸性を中和するために骨のカルシウムが使われる」、あるいは「砂糖を摂取すると代謝の過程で乳酸がつくられ、これを中和するためにカルシウムが使われる」という論理ですが、これらは誤りです。
まず、砂糖は酸性食品ではありません。「酸性食品・アルカリ性食品」という分類は、食品を燃やした灰を水に溶かした溶液が酸性かアルカリ性かで分類されます。リンや硫黄を含む肉や魚は酸性食品、カリウムやカルシウムを含む野菜はアルカリ性食品とされています。一方、砂糖、特に白砂糖は完全に燃えて何も残りません。砂糖は酸性食品でもアルカリ性食品でもないのです。
また、人には体液のpHを弱アルカリ性に保つ機能があります。重度の糖尿病や腎臓病などで著しく健康を害していない限り、食物の摂取によって体液が酸性になったりアルカリ性になったりすることはありません。また、糖質の代謝の過程でつくられる乳酸は二酸化炭素と水に分解されるため、骨の代謝に影響を与えることもありません。
肉や野菜をバランスよく食べることは大切なことですが、特定の食物によって、体が酸性やアルカリ性になるということはありません。

「砂糖を摂取するとビタミンが奪われる」というのは本当ですか?~砂糖の俗説②

糖質(炭水化物)が体内で代謝される過程では、ビタミンB1が補酵素(酵素を働かせるための酵素)として使われます。これを指して「砂糖を食べるとビタミンB1が奪われる」という人がいます。
しかし、ビタミンB1は砂糖だけでなく、ご飯やパンの主成分であるデンプンなど全ての糖質(炭水化物)の代謝に使われるものであり、砂糖の代謝の場合にのみ特に多く消費されるわけではありません。
「砂糖がビタミンB1を奪う」というのであれば、「ご飯やパンもビタミンB1を奪う」というのと同じことになります。とはいえ、甘いものやデンプン質ばかり偏食すると、ビタミンB1が多く使われることになりますので、バランスの良い食生活を送ることが大切です。

砂糖の適正摂取量はどのくらいですか?

砂糖の主成分である「ショ糖」は食品分類上、炭水化物(糖質)でエネルギー(カロリー)源になるものですが、エネルギーの必要量は、個々人のライフスタイルによって大きく異なります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」をみても、各栄養素の指標については、男女別、年齢別、体重、生活強度(ライフスタイル)等によって細かく記載されていますし、砂糖の摂取量について、ことさらに言及されていることはありません。
砂糖について「1日何グラムまで食べても大丈夫ですか?」という質問をいただくことがありますが、大切なことは、3大栄養素である炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質にビタミン、ミネラルを加え5大栄養素をバランス良く摂る食生活を前提に、体重の増減に注意してライフスタイルに合わせたエネルギーの収支バランスと栄養素の摂取バランスを意識することです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」の指標では、炭水化物(糖質)全体として、1日の摂取エネルギーの50%~65%の摂取が目標とされていますが、砂糖を全く摂らなくても、その分、他の炭水化物食品を食べればエネルギー的には同じことです。
ですから、砂糖の摂取量を「1日○○gまで」などということ自体、意味がないのです。

「疲れた時に甘いものが良い」と言われますが、なぜですか?

砂糖などの糖質は、体内では「グリコーゲン」という物質で筋肉や肝臓に蓄えられていますが、その量は限られています。そのため、仕事や運動で疲労し、グリコーゲンがブドウ糖に分解されてエネルギー源として利用された場合、貯蔵量が極端に少なくなることがあります。
砂糖を摂取すると、素早く消化吸収されて体内でブドウ糖になり、エネルギーになります。従って、筋肉を長時間動かすマラソンや登山には、砂糖の摂取が理にかなっています。
一方、見る、聞く、話す、味わう、といった行為には脳の働きが関係していますが、脳にとってブドウ糖は大切なエネルギー源ですので、砂糖はエネルギーを手軽に補充できる食品と言えます。
また、疲労には精神面も関係していますが、砂糖の甘味は、脳内に気持ちをゆったりさせるホルモンを分泌させる働きがあるとされています。

砂糖摂取と肥満の関係について教えてください。

肥満の主たる原因は、摂取するエネルギーより消費するエネルギーが少ないという収支バランスの悪さです。我が国の肥満者(BMI25以上)の割合は、20歳以上の男性を中心に増加傾向にありますが、この原因として考えられるのが、活動不足などによる「消費エネルギーの少なさ」です。
皆さんの1日の生活を思い起こしてみてください。
バスで駅まで行き、電車での通勤・通学、エレベーター・エスカレーターでのオフィス移動、座ったままのPCによるデスクワーク…。さらに最近では、在宅勤務の増加などでエネルギーを消費する行動が益々少なくなってきています。
日本人の摂取エネルギーは全体としてやや減少傾向ですが、栄養素別の摂取傾向をみると、脂質の摂取割合が増加し、砂糖を含む糖質(炭水化物)、タンパク質の摂取割合は減少もしくは横ばいです。熱量(カロリー)は糖質(炭水化物)とタンパク質が4Kcal/gであるのに対し、脂質は9Kcal/gです。
もちろん、熱量(カロリー)の摂りすぎが肥満につながる、という意味ではどの食品も同じであり、砂糖も例外ではありません。しかし、大事なのは総摂取エネルギーと総消費エネルギーのバランスを保つことであり、「砂糖の摂取を止めれば太らない」といった個別の食品に起因するものではありません。

砂糖摂取と糖尿病の関係について教えてください。

通常、血糖(血液中のブドウ糖)は細胞に取り込まれてエネルギーになるのですが、糖尿病は血糖値を調節する「インスリン」というホルモンの分泌や働きが不十分になることで細胞に取り込まれなくなり、血糖値の高い状態が続く病気です。
すなわち、糖尿病はホルモンの分泌や働きが異常となる病気です。原因は、遺伝体質・内臓肥満・運動不足・ストレスなどが挙げられていますが、砂糖は直接的要因ではありません。
更に言えば、「砂糖は血糖値を上げやすい」と言われることがありますが、食べ物がどの程度血糖値を上げるかの指標であるGI(グリセミック・インデックス)の値をみると、砂糖は白米や食パンよりもやや低い値を示しています。

砂糖摂取とむし歯の関係について教えてください。

むし歯の原因には、「歯の資質」、「口内にむし歯菌があること」、「口内にむし歯菌のエサになる砂糖などの食物があること」、「むし歯菌が増殖する時間」の4つの要素があります。
砂糖がむし歯発生の要因の1つであることは確かですが、「砂糖を食べたらむし歯になる」という単純なものではありません。そして、歯磨きなど口腔衛生に努めれば、十分に予防できる可能性があります。
また、同じ量の砂糖を摂取した場合でも、けじめなくダラダラと食して、口腔衛生を行わない場合は、むし歯発生のリスクが高まるという研究があります。

他の甘味料との違いについて

ハチミツと砂糖の違いを教えて下さい。

ハチミツは、ハチが花から集めた蜜(液状の糖)で、主成分はブドウ糖・果糖・ショ糖(砂糖)で、起源の植物により「レンゲ蜜」、「アカシア蜜」などの種類があります。この起源植物の違いにより、ハチミツの風味や色、そして感じる甘さの強さ(甘味度といいます)も微妙に異なります。
よく「ハチミツは砂糖より低カロリーである」と言われることがありますが、ハチミツは20%程度の水分を含むので、同重量であれば、水分を含むハチミツの方がエネルギー(カロリー)が低いのは当然のことです。また、前述の通り、ハチミツの主成分は通常の糖類であるブドウ糖・果糖・ショ糖(砂糖)ですから、成分的に大きな違いはありません。

メープルシロップとはどのようなものですか?

メープルシロップはサトウカエデの樹液を煮詰めて濃縮した蜜です。色は琥珀色もしくは褐色で、独特の香りと風味があります。主たる成分はショ糖(砂糖)であり、同じ糖類ですから、蜂蜜同様、成分的に大きな差はありません。

「加糖調製品」とは、どのようなものですか。

加糖調製品とは「砂糖を加えた食品加工用原料」のことをいい、使われている素材や砂糖の含有量によって色々な種類のものがあります。
現在使用されている主な種類、推定砂糖含有量及び用途は以下の通りです。
品 名 推定砂糖
含有量
(%)
主な用途
ココア調製品 90 チョコレート菓子
コーヒー調製品 80 コーヒー飲料
加糖あん 40~50 和菓子
穀粉調製品 15~20 製菓・製パン
ミルク調製品 50~65 アイスクリーム、
コーヒー飲料
ソルビトール
調製品
83 多方面で使用
これらの調製品は、業務用製品の原材料として主に製菓・製パン・飲料メーカーなどで使用されていますが、原料である砂糖や他の原料を国内で購入するより、調製品として輸入した方が安いため、平成以降、需要が増えて輸入が急増しています。

その他

砂糖が傷口の治療に使われていると聞いたのですが、本当ですか?

1980年代、米国の医学雑誌に「砂糖が慢性的な傷口の治療に効果がある」と報告されました。その後、ヨーロッパでも同様の報告があり、日本で使用が始まり、現在は病院の皮膚科などで一般的に使われています。
具体的には、ポピドン・ヨード液(イソジン)と砂糖(白糖)をゲル状の軟膏に混ぜ、練り上げてつくる「シュガー軟膏」という医薬品です。ポピドン・ヨード液の消毒作用と、砂糖が患部の水分を抱え込むことで、細菌などが住みにくい環境をつくる効果があり、火傷による潰瘍や床ずれの治療に使用されています。
他にも、砂糖は錠剤を包む糖衣などに使用されていますが、医薬品に使用される砂糖(白糖・精製白糖)については日本薬局方にて規定されています。

※日本国内で定められている、厚生労働大臣によって公示される文書。 医薬品の品質・純度・強度の基準が定められているほか、各医薬品の有効性を問う試験法や判定方法が掲載されています。

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