日頃は弊会に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
まずは、砂糖製品をご愛顧いただいている消費者・ユーザーの皆様に心より御礼申し上げるとともに、燃料費等の輸送コストの高止まりが続く厳しい状況の中、製品の安定供給に日々ご尽力頂いております特約店をはじめとする流通の皆様に対し、深く感謝申し上げます。
さて、我が国の経済は昨年、日経平均株価が最高値を更新して節目である5万円を超えるなど、所謂失われた30年から変節点に達するなか、少子高齢化による人口減少と製造現場における人手不足は深刻さを増しています。砂糖の原料である北海道のてん菜と鹿児島の離島及び沖縄のサトウキビの生産現場も例外ではなく、生産者の高齢化による離農などの担い手不足が顕著になっています。加えて北海道のてん菜糖業や鹿児島離島及び沖縄の製糖業における設備の老朽化も進み、このままでは、生産者の皆様が丹精を込めて作ったてん菜やサトウキビを砂糖に加工出来ない事態に陥る危険性が高まっています。北海道のてん菜は、ばれいしょや麦、豆と並ぶ重要な輪作体系を為す基幹畑作物です。また鹿児島と沖縄のサトウキビは、農業としてのみならず、特に離島国境上も非常に重要な基幹産業です。
我々精糖業界は、このような状況に危機感を抱いており、糖価調整制度を通じて北海道と沖縄・鹿児島の甘味資源作物をしっかりと支えるべく、強い使命感を以て長年にわたって輸入糖調整金の負担を行ってまいりました。その負担額は、過去35年の合計で約1兆7,000億円に達します。この多額の負担を行いながら、他の甘味料との競争に打ち勝つべく、精糖業界では、各加盟会員会社において、精製糖工場の統廃合や、系列を超えた精糖企業の合従連衡などを繰り返しつつ、日本の食や農業、南方の離島政策に貢献すべく民間企業として最大限の努力を重ねてきています。
一方、同じ糖価調整制度の下での調整金負担において、長年にわたり公正・公平な運営がなされておらず、例えば同じ35年間での異性化糖業界の調整金額負担額は約1,100億円に過ぎません。その結果、民間企業として文字通り血のにじむような努力を積み重ねているにも関わらず、適切な調整金負担をしていない代替甘味料や、そもそも糖価調整制度の対象となっていない、主に海外で化学合成により製造され砂糖の数百倍の甘味度を持つ「高甘味度甘味料」により、我が国の砂糖市場は漸減を余儀なくされ、砂糖生産量の減少が代替甘味料とのコスト差を更に広げ、その結果として砂糖消費の更なる減少を招く「負のスパイラル」に陥っています。
近年、我が国の甘味資源策作物を支える基礎となる糖価調整制度の財政基盤である農畜産業振興機構(ALIC)の砂糖勘定の累積赤字は急速に拡大しており、その額は2024砂糖年度末で前年とほぼ同水準の595億円見込みと、引き続き借入限度額800億円を超えかねない危険水域にあります。即ち、あと200億円赤字が増えれば、制度上は北海道のてん菜と南の島々のサトウキビを支えられないことになります。
前述の通り、我々精糖業界は、長年にわたり(国庫からの補填分を除き)ほぼ一手にこの制度を支えてまいりましたが、民間企業としての努力は限界に近づいています。北と南の大切な甘味資源作物を守ることは、我が国の食料安全保障、そして経済安全保障、加えて離島国境政策にも繋がる非常に重要な国民的課題であり、今まさに、異性化糖や高甘味度甘味料など全ての甘味に関わる関係者が覚悟を以て前面に出てオールジャパンで支える体制を整えることが喫緊の課題だと認識しています。
既に主要国に比してほぼ半減となってしまった一人当たりの砂糖消費量(日本の年間約15kgに対し、米国は33kg、ドイツは40kg、ブラジルは52kg等)を直視し、消費者の皆様におかれましては、「砂糖は太る」といった根拠のない話(例えば異性化糖と砂糖はカロリーも成分もほぼ同じ甘味料です)や「無糖」「低糖」に惑わされることなく、緑豊かな北海道の大地と、美しい南の島々の地域社会を守る為にも、今一度、天然甘味料である砂糖の良さとその価値を認識して頂きたいと思います。
またユーザー様におかれましては、価格面から他の代替甘味料に切り替えることなく、砂糖の持つ食料安全保障、経済安全保障、地域貢献、国土保全、持続可能な地域社会への貢献といった「社会的価値」にも目を向けて頂き、今一度、砂糖を正規の甘味料としてご使用頂きたいと切に願う次第です。
政策当局の皆様におかれましては、今まで以上に強い使命感を以て糖価調整制度を守り、前例にこだわることなく省庁間の縦割りの壁も乗り越えて、より公平・公正な制度の運用をお願いしたいと思います。
今年は午(うま)年、勢いとエネルギーに満ちて活動で的になる年です。関係者が一丸となって天然の甘味資源を守り、我が国に今一度勢いとエネルギーを与えられる一年になることを大いに期待しつつ、皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう、心から祈念申し上げまして、私の新年のご挨拶といたします。
令和8年 元旦





