令和7年1月6日

令和7年 新春のご挨拶

会長新春のご挨拶

会長新春のご挨拶

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

日頃は弊会に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

まずは、砂糖製品をご愛顧いただいている消費者・ユーザーの皆様に心より御礼申し上げるとともに、厳しい状況の中、製品の安定供給に日々ご尽力頂いております特約店を初めとする流通の皆様に対し、深く感謝申し上げます。

2023砂糖年度の我が国の砂糖需要は、対前年度比微減の174.2万トンとなり、コロナ禍後の回復傾向から一転して厳しい結果になりました。国内旅行やインバウンドの増加等経済の回復による好影響が期待されましたが、食料品等の生活物資の値上げによる消費マインドの冷え込みが影響したものと考えます。

長期的にも砂糖需要の減少傾向には歯止めがかからず、1990年当時の約260万トンから30数年間で約180万トンまで減少し、それに伴って精製糖業が取り扱う輸入糖も約170万トンから約100万トンにまで減少しています。

そのような中でも、我々精製糖業界は、バリューチェーンの中間に位置する基幹産業として、国民生活に不可欠で心身のエネルギー源となる砂糖製品を安定的に供給するとともに、輸入糖調整金の負担を通じて、糖価調整制度を支え、その使命と責任を果たしてきております。

しかしながら、近年、糖価調整制度運営の基礎となる農畜産業振興機構(ALIC)の砂糖勘定の累積赤字は急速に拡大し、2023砂糖年度末で638億円と見込まれ、借入限度額の800億円を超えかねない、かつてない危機に瀕しています。

この状況を受けて、農林水産省は、てん菜糖の交付金対象数量の段階的削減や、昨年4月には異性化糖調整金の運用見直しにより恒常的に調整金の徴収を可能とするなどの対策を打ち出しています。

さらには、昨年秋の価格決定の際には、2024砂糖年度の指定糖調整率を13年ぶりに37%から39.32%に引き上げました。また、昨年末には、補正予算で、収支が悪化している糖価調整制度の安定運営を図るための交付金60億円が措置されました。

弊会としても、早急にALICの砂糖勘定の単年度におけるプライマリーバランスを均衡させて持続可能な状態に持っていくことが肝要と認識していますが、輸入糖に過度な負担を負わせる措置については到底賛成できません。

厳しい現状を打開するには、政府及び甘味に関する業界の全ての関係者が運命共同体であるという原点に立ち返って、「自助」・「共助」・「公助」の精神で現実を直視し、個別の利害を超えてコンセンサスと相互理解、各々が「公平・公正」な負担によって責任を果たすべきです。

我々精製糖業界は、企業合併や工場の共有化、系列を超えた合従連衡とそれに伴う精製糖・製糖工場の閉鎖などの「自助」努力を続けながら、長年にわたって年間約500億円の調整金を負担し、2020砂糖年度からの3年間でも、国際相場や円安の影響もありますが、379億、293億、220億円を負担しております。この結果、1989(平成元)年以降の34年間の調整金総額は1兆6,566億円に達しています。

一方で、異性化糖は、過去30年間で輸入糖との数量比率(砂糖換算)が「170対80」から「100対80」とほぼ同水準までになったにもかかわらず、調整金総額は1,085億円に過ぎません。さらに、異性化糖の調整金の運用見直し後も、引上げ幅10%の激変緩和措置等により、輸入糖と異性化糖の調整金単価の格差は拡大しています。

このように、輸入糖を取り扱う精製糖業界のみに過度な調整金負担を強いれば、異性化糖や加糖調製品に比べて砂糖価格のみが上昇して消費者やユーザーの皆様から敬遠され、結果として更に砂糖消費が減少して調整金収入も減少する「負のスパイラル」が進み、中長期的には制度の財政基盤を毀損させて崩壊を招くことが強く懸念されます。

弊会としては、糖価調整制度の運用における「公平・公正」の観点から、同一制度における「平等な競争の場」を確保、すなわち、輸入糖と異性化糖の調整金を同水準の単価で徴収し、それによって安定的な財源を確保すべきことを求めています。異性化糖業界は、制度の一員として、「共助」の観点から応分の負担を果たすべきです。

また、砂糖需要を脅かしている高甘味度甘味料についても、原料原産地表示の記載などの対応が講じられるように努力してまいります。

そもそも、糖価調整制度は、基礎的食料である砂糖の安定供給を図るべく、国家の重要品目である沖縄県・鹿児島県の南西諸島のさとうきびや北海道のてん菜を、食料安全保障、国家防衛や離島振興という観点から支える「国策」として設けられたものです。精製糖業界のみならず砂糖業界全体が再投資できない状況に陥っている中では、政府は、「公助」の観点から、砂糖勘定の累積赤字に対し、その責任において財源措置を講じるべきです。

また、需要漸減の一因でもある砂糖についての誤解やマイナスイメージの払拭に向けて、関係者の皆様とともに「シュガーチャージ推進協議会」の活動を始めとする啓発活動にも引き続き取り組んでまいります。その他、物流の2024年問題については、一昨年12月策定の弊会の自主行動計画に基づき、様々な課題を解決すべく、流通の皆様方のご理解・ご協力の下、鋭意対応してまいります。

本年の干支は「乙巳(きのとみ)」と呼ばれ、「これまでの努力や準備が実を結び始める」、「努力を重ね、物事を安定させていく」という意味があります。弊会としても、本年が、公平・公正な制度運営実現の契機の年となり、砂糖需要の回復・拡大によって業界全体が発展して関係者の皆様の日々のご努力が報われますよう、全力で努めてまいります。

皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

最後に、本年が皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう、心から祈念申し上げまして、私の新年のご挨拶といたします。

令和七年 元旦

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