令和4年1月4日

令和4年 新春のご挨拶

会長新春のご挨拶

会長新春のご挨拶

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

日頃は弊会に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

コロナ禍が長引く中、変わらずにご愛顧いただいている消費者・ユーザーの皆様に、精糖工業会を代表して心より御礼申し上げます。

また、特約店様を初めとする流通関係の皆様には引き続きご苦労をおかけしております。このような厳しい環境下においても、懸命にご尽力頂いておりますことに対し、深く感謝申し上げます。

昨秋以降、新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向となっておりますが、冬場を迎えて感染再拡大の懸念は拭えず、感染の収束時期は未だ不透明です。平穏な日常が一日も早く訪れることを願わずにはいられません。

私ども精製糖業は、バリューチェーンの中間に位置する産業として、国民生活に不可欠な心身のエネルギー源となる砂糖製品を安定的に提供するとともに、地域経済・国内農業振興の重要な担い手としての役割を果たしております。更には、国内砂糖業の一員として沖縄県及び鹿児島県の離島・国境防衛を担う産業としての役割、国際的には、諸外国との経済連携協定等を通じた多国間及び二国間の経済外交に関わり、さとうきび・てん菜栽培を通じた地球環境への貢献という役割も果たしております。

また、糖価調整法に先立つ糖価安定法の時代から、50年以上にわたって、流通の関係者の皆様とともに、調整金負担を通じて糖価調整制度を足下で支え、責任を全うしてきました。私どもは、こうした重要かつ伝統ある産業に誇りを持って携わってまいりました。

一方で、精製糖業は巨大な装置産業であり、変動費低減に向けた努力は既に限界に達しており、設備老朽化への対応としての更新投資による多額の現金支出と減価償却費等固定費の負担増加に直面しています。今後、更なる再投資に耐えられる持続可能な事業体として存続できるかどうかは、砂糖産業全体の浮沈に関わる問題であると考えます。

そのような中、一昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大により砂糖業界も甚大な影響を受け、令和元(2019)砂糖年度の消費量は対前年度比で11万トン以上減少の172万1千トンとなりました。

そして、昨年9月に終了した令和2(2020)砂糖年度についても、インバウンド需要の消滅が続いたことに加え、度重なる緊急事態宣言の発出等により国内の経済活動の低迷が続いたこと、東京五輪・パラリンピックが無観客開催となり需要の起爆剤にはならなかったこともあり、前年度から更に微減の171万300トンとなりました。

その上、輸入原料糖の価格が国際粗糖相場の高騰を受けて上昇し、精糖各社とも相次いで製品価格を引き上げざるを得ない状況が続いていることから、消費への更なる悪影響が懸念されます。

平成12(2000)砂糖年度の砂糖消費量は223万6千トンであり、この20年間で50万トン以上、消費が減少したことになります。

こうした砂糖需要減少の中で、国内産糖と輸入糖とのバランスが崩壊している点も懸念されます。糖価調整制度は、調整金を負担する輸入糖と支援を受ける国内産糖との供給バランスを図ることが根幹になっていますが、このバランスが大きく崩れてしまっています。砂糖消費量全体の減少傾向が続く中、国内のてん菜糖の生産量はここ数年60万トン超が続いており、相対的に輸入糖の数量が大きく減少しています。事実、20年前と比較して、消費量全体に占める国内産糖と輸入糖のシェア割合は1対1.9から、1対1.3まで差が縮小しています。

国内産糖と輸入糖が共存できるよう、需要の実態に即したてん菜の適正生産量に向け、北海道畑作農業における健全な輪作体系を維持しながら、生産者がてん菜以外の需要のある他作物に安心して取り組めるよう、環境を整備すべきです。

さらに、不公平な調整金負担の問題もあります。

異性化糖・加糖調製品の両者とも同じ糖価調整制度の中のプレーヤーでありながら、異性化糖については規定上、調整金を徴収できていない状況が10年続いています。加糖調製品についても、調整金の対象にはなったものの、砂糖との価格差を埋める水準には程遠い状況です。この結果、両者の価格優位性により、砂糖へのしわ寄せの状況が続いて、砂糖の需要が大きく減少しています。制度の運営において最も重要な「公正・公平性」が欠けており、早急に是正されるべきです。制度外の高甘味度甘味料についても、砂糖の需要を浸食するケースもあり、早急な対応が必要です。

また、国内産糖の生産者等への支援における国庫負担の拡充を図るべきです。生産者等に対して毎年度約600億円の交付金を賄うため、精製糖企業からは制度を通じてそのうち約400億円を調整金として負担しております。糖価調整制度は言うまでもなく国策であり、北海道のてん菜、沖縄県・鹿児島県のさとうきびといった甘味資源作物が、国家防衛上やわが国の食料安全保障上国家の重要品目に位置する極めて重要な農産物であるために設けられたものであり、砂糖消費の減少により輸入量が縮小した精製糖企業からの調整金に過度に依存すべきではなく、税負担の公平・公正性を図る観点から、大幅に国庫負担を引き上げるべきです。

これらのことが糖価調整制度に歪みを引き起こして砂糖調整金収支を急速に悪化させ、令和2(2020)砂糖年度末の累積差損は336億円という由々しき事態になっています。

糖価調整制度の健全な運営を取り戻すために残された時間は少なくなっています。政府、生産者、国内産糖業、精製糖業、流通業を含め砂糖業界関係者が、砂糖をめぐる極めて厳しい現状を直視し、個別の利害を超えてコンセンサスと相互理解、公平な負担の下、制度維持のため対策を講じなければなりません。

当会としても、大変厳しい状況ではありますが、今後も調整金負担の責任を果たすとともに、4年目を迎えた「シュガーチャージ推進協議会」等、砂糖需要を下支えする活動にも関係団体の皆様とともに引き続き取り組んでまいる所存です。

私自身も、砂糖業界に携わる皆様、並びにユーザー様を初めとする全ての関係者の皆様の日々のご努力・ご苦労が報われますよう、全力で取り組んでまいります。

引き続きのご理解・ご協力を何卒よろしくお願いいたします。

最後に、皆様のご発展とご多幸をお祈りするとともに、コロナ禍の一日も早い収束を心から祈念申し上げて新年のご挨拶といたします。

令和4年 元旦

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